南太平洋諸島地域で飲まれるカバ(Kava)は、特にフィジーではいろいろな儀式で飲まれることで有名です。堅苦しい儀式から、だれかがやってきたときのもてなしの儀式にまで、フィジー旅行中、最低1度は口にするはずです。しかも、フィジアンの生活により近い旅をすればするほど、カバを飲む機会は増えていくのです。こんな時、相手に「おっ、こいつは礼儀を知っているな」と思わせるよう、カバについて基本的な知識を頭に入れておきましょう。
カバ(別名:ヤンゴーナ)とは、南太平洋帯に生える胡椒科の木のこと。カバの儀式では、この木の根を乾燥させ、それを水でぬらし、しぼり出した汁を飲むようになっています。最近では、マーケットや商店でカバの根を石で砕いて粉末にしたものも売られており、簡単な儀式では、これを水に溶かして飲む場合もあります。
カバの儀式に必要な道具として、まずはタノア(Tanoa)という木製の大きな器。この器に竹筒から水をそそぎ、その中でカバの根をぬらし、汁をしぼり出します。粉末の場合はそそいだ水で溶かします。ちなみに汁は、ほとんど泥水と同じような色をしています。次にココナッツの殻でつくった受け皿(杯)。これにタノアからカバの汁を汲み取り、飲むようになっています。
カバの儀式の進め方は、通常ホスト役は3名。ひとりはカバの汁を作る役、もうひとりはココナッツの殻に汁を汲み取り、お客様まで運ぶ役、そして最後のひとりは、お目付け役。まずお目付け役が儀式の始まりを宣言する祈りをあげます。その後、タノアに水がそそがれ、カバ汁を作り始めます。できあったカバは、えらい人から順に飲むようになっていて、だれに持っていくかを示すのはお目付け役の仕事になっています。
自分の前にカパが差し出されたら、まず手を2回たたき、(場所によっては1回のところもあります。)“ブラ”といって右手でカバを受けとって、その後、お目付け役の人が1回手をたたくのを待ち、ひと口で汁を飲み干します。飲み終わったら、ココナッツの殻を返し、3回手をたたいて、“ピナカ”と礼を述べます。このパターンがひとりひとりになされ、しかも2度、3度とまわることがあり、儀式は延々夜遅くまで続くことが多いです。最後までいる必要はありませんが、儀式に参加したら全員が最低1回は杯をあけるまではいること。これが最低限の礼儀です。
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